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常夜の龍の──哀しい、恋の物語
2010/03/17(Wed)
 それは今週のはじめのこと。週末に新しいゲームインストールするのに備えて、PCの中のゲームフォルダを整理していました。そこで見つけたのが、DLしたままになっていた某フリーソフトゲーム。公開された当初は「面白い」と絶賛されてましたが、のちにトラブル(権利問題関係?)が発生したようで、気づいたらDL不可になっていました(なので、作品名は伏せます)。それを何の気なしに解凍&起動したことから、私の悲劇(睡眠不足)は始まりました。

 雰囲気は中華風。龍(立ち絵は人型)の統治する世界の、龍と人の恋物語。
 龍を暗殺する集団の中で人形のように育ってきた天涯孤独の主人公(人間)は、とある龍を殺そうとするが失敗して負傷。そしたら(なぜか)その龍に保護されて手厚くもてなされ、知識を与えられていくことで、自ら考え動くことのできる「人間」になる。そんな中、暗殺集団の生き残りが保護者(旧・暗殺対象)を狙ってきて、それを防ごうとした主人公は崖から落ちて川を流されてしまう。目が覚めたのは知らない場所。保護者の元へ戻ろうとする途中、保護者とよく似た顔・同じ名前だけど傍若無人で粗暴で性格の悪い若者の龍に出会う(ヒドイ言い様ですが、間違ってないことがもっとすごい)。若者に無礼を働いて捕まった主人公は、この若者が国内トップクラスの偉い人で、保護者はその人の名前を騙ったニセモノらしいと教えられる。行くあてもなく、保護者の意図もわからない主人公は、とりあえず若者に仕えることになる。若者は命を狙われることが多いので、その犯人探しをしたり、保護者の正体を探っていったすえに、主人公は自分のこと、そして保護者や若者の「真実」を知るに至る……という話。

 以下、長いので興味ある人のみどうぞ。


 選択肢は難しいです。最初は死んでばかりでした(死ぬたびに「ヒントコーナー」として登場キャラとぱんださん(制作者)のかけあい漫才が見られるので、それはそれで楽しい)。だって、突然見知らぬ豪華な屋敷で目が覚めて「何か質問は?」と聞かれた正答が「質問なんかねえ」だとか、保護者に庇護されている療養生活中の選択肢が「最初は“休養”(重傷を負っていたので)、二回目以降は全部“暗殺”を選ぶべし」とか、「2択問題でどっち選んでも死ぬってどういうことだよゴルァ」では「時間制限つきの選択問題なら、選択肢は2つだけじゃない(=選ばない、という選択肢がある)よね」とか。もう、ぱんださんってば鬼☆
 ルート制限も厳しい。最初は保護者の正体解明ではなく、若者の同僚(同じように国の要人だけど、若者よりずっと先輩)の正体と意図を解明しないといけないんですね(2種類エンディングがあって、どちらも解明したのに主人公殺されちゃうエンドでした)。その道を知ることで、若者が暗殺されないルート(正史)を選べるようになります。そのルートを進めてようやく迎えるのが「若者生存&主人公死亡」エンド。ただ、こちらのルートは若者の親密度が上がっているので、主人公が死んだ後の若者の落ち込みっぷりが半端じゃなかった(泣けた)。主人公の「死」が、若者の「業」によってもたらされた「天命」だった、ということもあるので。
 正史(若者生存ルート)を見てからは、若者(とプレイヤー)の悲劇を覆すための戦いがはじまります。若者の努力はネタバレ含むので後述。プレイヤーの努力は、簡単にいえば「全バッドエンディング制覇」!(悲劇を覆すのでは?) 負傷した体で無理して歩こうとして池に落ちたり、湯河に飛び込んで火傷でショック死したり、寝首をかかれたり、殿方入浴中のドアを開けなくてぱんださん(制作者)に怒られたり(一番頑張ったスチルだから見ろって・笑)……18種類くらい死んだかなー、私(同じエンディングにたどりつくルートは複数あるので、回数だけならもっと多い)
 そして、全バッドエンッドを見たのち、初めから再プレイすると、最後に選択肢が1つ追加され、ここでようやく主人公生存のTrueエンドを迎えられるのです。


 以下、ネタバレ。

 保護者と若者の関係(違う時代の同一人物)は「保護者とよく似た顔立ちなのに、主人公のことを知らない」という反応を見ただけで看破してしまいました。某ネオロマ作品の某時空跳躍能力と似てたし、何より保護者が「ニセモノ(=嘘をつく龍)ではない」と信じられる存在だったから。同名のキャラクターが、複数(保護者・主人公・剣)登場するのも不自然だし。お付きの子が保護者の部下と同一人物だと気付いたのは、さすがにもっと後(少年の父の話を聞いた後)ですが。もう少し情報減らしてもよかったと思うくらいです。
 そんな感じでさっさと「真実ニ至レリ」となってしまったので、若者に会ってからのストーリーでは、すべてのミスリードにひっかからず、むしろ「こういう風に誤解させたいんだろうなあ」と制作者の心情を想像しながら進めていました(仕事で「作者の意図」を読むことに慣れているもので)。ごめんよぱんださん。
 そんなネタバレモードで読んでいても、正史のラストは泣きました。主人公は自分の死(保護者のもとで過ごした日々の中で聞いた思い出話)を承知のうえで、その場所に赴き、未来での邂逅を託して死んでいく。暗殺集団の一員としてただの人形のように生きてきた主人公にとって、若者を生かすことで恩返しができたうえ、未来での再会を信じて死んでいけることは本当に幸福だったろうなと思います。世界中の誰が見ても「悲劇」だとしても、主人公にとっては「幸福な結末」だった。彼女の人生を「幸福」だと思えるからこそ、切なくて。
 そして若者は「自分を生かすために」「自分のせいで」彼女が死んだことを知る。一人分しか生き残る手段がなかったから、ではない。国を治める責務を放棄していた天罰として、自分が吐いた数々の暴言が「真実」になった結果として(「無責任な軽口が真実になる残酷さ」は、考えておくべき大切なことだと常日頃思っています)娘は死んだ。心の底から己を憎んだ。でも、死ぬことはできない。彼女がくれた命を粗末にすることはできないし、彼女が「未来で会える」と言った言葉を信じたから。ならば、娘と出会うために「同じような」施政者になり、同じように会おう。でも、死なせないために「異なる」仲になろう。そうして、文字も読めなかった乱暴な若者が、血へどをはく思いで、臣民に慕われる施政者になっていく。200年の歳月を、再会するために、ただ耐えて生きていく。天命を覆そうとして、天命が用意した「再び“失う”」罰を受けるために。

 作者の解説で読んでつくづく思ったけど、若者に与えられた罰は壮絶ですね。施政を放棄した罰として最愛の女性を奪われ、己を殺して国と人民のためだけに生きる日々を200年続けさせられ、やっと会えた娘に思いを告げられず(親密になりすぎることで彼女が自己犠牲の道を選ぶことを恐れたから)、ささやかで最上の幸福に満ちた日々は娘が過去の時空へ消えることで終わってしまう。残るのは、天命(娘の死)を覆せなかったという事実と、娘を守れなかったという後悔、そして喪失。今度こそ一切の希望のない世界が広がっている。どれほど絶望するのか、想像するのも恐ろしいです。
 だから、最後に天命を覆したときに、主人公が「若者」より「保護者」を憂えたのにちょっとほっとしました。どれだけ大切に思っているかを伝え再会を託すことができた「若者」と比べ、何も告げずに姿を消すことになってしまった「保護者」には絶望しか残されていないだろうから。たくさんの知識と深い愛情を注いでくれた人物に、正しい時間軸にいる想い人に会いに戻ることができる結末で良かったな、と思います。

 でも、まあ、だからといって、急に○○さんが出てくる展開はどうかと思ったけどさ……(天命の覆し方は強引すぎて不満)
 そこまで辻褄あわせようとするくらいなら、焼け跡に何も残っていなかった方がよかったのではないかと、個人的には思っています。

 あとはタイムリープものの常套として、かつて言われた言葉を、まだその言葉を知らない相手に告げる場面は好きですね。暗殺者でなくなった主人公に保護者がかけてくれた「私の光 私の夜明け 私の『天黎』」という言葉は、保護者がまだ若かったときに、主人公が自分のことを「わたしの光 わたしの夜明け わたしの『天麗』」と呼んだから。そして、主人公がいる建物が炎に包まれるのを見ながら「光はおれじゃないんだ、夜明けはおれじゃない、あいつがおれの『天黎』なんだ」と、叫ぶ若者を見た後で、もう一度保護者が呼びかけるシーンを見ると、若者=保護者のあふれんばかりの深い愛情にただただ泣けるのです。
 何度も書いているような気がしますが、主人公と若者(保護者)の関係を知ると、彼らの言動のひとつひとつにこめられた意味が深くて、事情を知る周囲の人たちの優しさが切なくて、本当に泣かされます。トゥルーエンド後の二人には、今度こそ幸福になってほしいと思う次第です。

 いろいろ非難されている点(DLできなくなった理由)などを知っていますが、それでも、楽しくやらせてもらったので、クリア後の思いのたけをありったけ書かせてもらいました。
 ぱんだ(制作者)さん、切なくも素敵な作品をありがとうございました。

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