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インシテミル
2010/11/20(Sat)
 『インシテミル』という映画CMが気になって、原作小説を読んでみました。
 本屋でざっと流しながら読み通した程度なのですが、いろんな意味で面白かったです。きっと「ミステリーファン」にはたまらない作品なんだろうと思います。

 以下、ネタバレ。
 私はミステリーファンじゃないので、素人評価しかできません。それでもよろしい方のみどうぞ。

 最初に読んだときは「この小説が映画化される理由」がわかり、ちょっと落ち着いてから「この小説がそこまで有名にならなかった理由」がわかった気がします(「このミステリーがすごい」みたいな本では評価されているらしいですが)


 まず、ミステリーとしてしっかり作ろうとしている丁寧さを評価したい。最初『まだらの紐』典拠でなぜ「火かき棒」を与えられるのか疑問だったのですが(ホームズの密室殺人事件としてよく覚えていたので。「紐」の正体にがっかりしたけど・笑)、その「世間一般の凶器イメージと、実際の凶器の相違」もきちんと使っているところは小憎らしいと思う。終盤で一部登場人物が「『主人』の意図」を怒涛のごとく説明してくれるのですが、ほとんど理解できずにもどかしい思いを味わいました。ミステリーファンにはたまらないネタ明かしの場面なんだろうな、と考えると余計に。
 面倒くさい膨大なルールをひとつずつ考えて、全く違うところから集められたという性格も動機も異なる人物設定を丁寧に作り上げ、賞金金額もきっちり計算して。
 ミステリー大好きな作家さんが、ミステリー大好きなファンのために書いた作品なんだろうな、という作中の空気は最後まで一貫していて、好感が持てました。

 では、逆に何がダメだったか。
 ずばり「なんでも取り込もうとして、作者の手に余った」ところですね。

 まず「主人」が考えていたより事件の数が少なかったことは、仕方ないでしょう。現在の日本では積極的に殺人を犯そうとする人はそういませんからね。この話ではただのバイト感覚で申し込んだ人が多いから、余計に。
 次に「クローズド・サークル(何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件@Wikipedia)」で、事件が起こる(互いの関係を濃くも疑い深くもする)ための要素を過剰に盛り込んだ結果、それぞれの要素が薄く残ってグダグダになってしまった点は、もうちょっと上手く使ってほしかった。例えば「実は知り合いでした」ネタが一部の人物同士をつなぐ要素でしかなく、全員に及ばないのは歯がゆいです。ただ、本当に知り合いだったら簡単に殺せないから、やっぱり仕方ないのかなあ(見知らぬ誰かを殺すことと、知り合いを殺すことの違いは大きいと思うのです)
 そして何より「ずるい」と思ったのは、作品で消化しきれなかったミステリー要素を、登場人物たちに批判させたこと。作中では「クローズド・サークルをやろうとした『主人』が“失敗”した」と登場人物たちに断罪されていますし、作中のその指摘はおおむね正しいのだろうと思います。でも、そこで指摘することで、作者の力量の限界を「不完全なことも仕様」として「逃げた」感は否めません。
 「この作品、ミステリーとしてココがダメだよね」って読者の批判をあらかじめ封じている気がして、どうもすっきりしませんでした。

 まあ、いろいろ気になる点はありましたが、ミステリーに詳しくない私にも、それなりに楽しめました。ミステリー好きで興味のある方は、ぜひ。

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